オーセンテリアがお取扱いしているイギリス生まれのブランドは全部で6つ。
驚くことにそのうちの上記3ブランドはすべて、英国ダービシャー州のWirksworth(ワークスワース)という人口5000人余りの小さなマーケットタウンから生み出されるアート&インテリアのブランドなのです。
ワークスワースとのご縁の始まりはキュリオーサ&キュリオーサ(現・キュリオーサ)でした。
2013年秋、オーナーの石黒はロンドンの見本市で初めてキュリオー&キュリオーサのガラス照明を見た時、その豊かな色彩と透明感、シェイプの美しさ、手吹きガラスのゆらぎの味わいに心を奪われました。
そこから数年後、キュリオーサ&キュリオーサの創業者でありデザイナーのエスターに初めて会い、仕事の話をした時、一番初最初に言われた『ビジネスを共にするにはお互いの信頼関係が一番大切』という言葉が忘れられない、と石黒は言います。
その後、ブラックポップの斬新で刺激的なデザインと出会い、こちらもそのまた数年後、創業者でデザイナーのマキシンと話し合い日本での取扱いを始めました。ブラックポップのデザインの魅力は荒廃的なラグジュアリーエレガンス。日本ではまだあまり見られないジャンルのデザインかもしれません。古典芸術と現代のアート技法をスパークさせてデザインに昇華させるその世界感は唯一無二です。
そして2019年、ビューヴァンプの可憐なシルクシェードを見つけます。ビューヴァンプの『ティファニー』ランプシェードは214色のシルクの中から色を選択。アリスとチームが一点一点手縫いで仕上げていきます。選ぶ色の組み合わせ次第でロマンティックにも、アヴァンギャルドにも姿を変える可能性の豊かさに気付けたのは、石黒がイギリスで学んだインテリアデザイナーだからかもしれません。
日本に紹介したいと思ったブランドは、必ず創業者やデザイナーと直接話をしに会いに出向き、可能な限り現地の工房や制作現場まで足を運び、アイテムたちの生まれるバックグラウンド、その土地の環境や、愛情と誇り溢れる物づくりの現場をその目で見て感じて、確信を深めるのだそうです。(そこから受け取る印象や直感は、石黒曰くその後のビジネスパートナーとしての「一事が万事」なのだそうです。)
ワークスワースはロンドンから電車を乗り継いで3時間以上かかる街ですが、2度訪れて3ブランドのパートナーのみならず、その家族やその友人たちとも親交を深めています。
ここで驚くのはオーセンテリアと3ブランドとの出会いは、どれもブランドを見つけたのが先で、どこで作っているかを調べると偶然にも拠点がワークスワースだった、ということです。 例えば、「このランプシェードなんてステキなのだろう!」ビューヴァンプの商品を見つけて、会社の場所を調べるとキュリオーサと同じワークスワースだとわかり、びっくりしたというのです。
いや、これは偶然ではないかもしれない、と思ったのは、それから少し時間がたってからのことです。
ワークスワースという土地がアートの才能を生み出し、育てているのではないか...
豊かな自然に恵まれた土地、ワークスワース。キュリオーサ&キュリオーサのエスターは愛犬と共に毎朝緑に囲まれた自然の中を散歩するのが日課です。「ペンダントの定番と呼べる普遍的なシェイプ」の記事で書きましたが、ワークスワースの美しい自然がこれらのブランドのデザイナーや職人の感性にポジティブな影響を与えているのかもしれません。
Wirksworth Festivalはワークスワースで毎年開催されるアート関係のイベントです。イベントの事務局が世界中から寄付を集め、地域のアーティストが集まり、アートやパフォーマンスが展示、開催され、ボランティアがそれをサポート、子供たちがアートに触れる機会を作り、地域全体でフェスティバルを盛り上げます。芸術に対してサポートが充実しているイギリスの中でも、ワークスワースはアートや文化を育む環境が整っている地域なのではないでしょうか。
オーセンテリアチームも、いつかこのフェスティバルの開催中に皆でワークスワースを訪ねてみたいと思っています。
さて、ワークスワースにはこの3ブランドの素晴らしいコラボレーションが見られるお店があります。
場所はもちろんワークスワースの中。キュリオーサ&キュリオーサのエスターのパートナーであるポールが運営している「Northan Light Cinema(ノーザンライトシネマ)」という地元のミニシアター&バー&デリです。エスターがBlackpopのマキシン、BeauVampのアリスに声をかけて、それぞれのアイテムを持ち寄ってシネマをアートフルな空間に仕上げました。座席に張られたファブリックも色とりどり。VIPシートはブラックポップのスーパークールなソファ! なんてお洒落なのでしょう!
この劇場とバーは地元の人たちの憩いの場。アートを育むワークスワースの自然と環境。こんな魅力的な場所が近くにあるといいですね。
(2024年2月1日加筆)