20世紀の名作照明 10選

名作照明への旅

照明器具のデザインはデザイン分野の中でもかなり特徴的です。照明器具は機械的な物体であり、そして第一に、機能的な道具でもあります。光がついている時、消えている時で表情を変え、どちらのシーンでも美しく見える必要があり、デザイナーが実用性と美観を両立させるためには、絶妙なバランスを保つ必要があります。この挑戦は20世紀の技術的革新によってより興味深いものへと発展し、その中から今現代でも新鮮に感じられる独創的な照明デザインの数々が生まれました。
今回はトム フォルクナーのチームが選んだ20世紀を代表する照明器具を10個ご紹介します。一緒に名作の数々を巡る旅に出かけましょう!

1,「パンテラ」

「パンテラ」 by ヴァーナー・パントン

ヴァーナー・パントン(Verner Panton)は1971年、アクリルやクロームといった新時代の素材を用いて、「パンテラ(Panthella)」ランプをデザインしました。70年代のアイコンのひとつであり、当時の曲線美と近未来的なデザインを反映しています。「パンテラ」はほとんどが曲線で構成され、トランペットの上に半球を乗せたような形をしています。光がそのカーブの表面を滑り、調和のとれたアンビエントな輝きを放ちます。光源である電球が直接目に入ることなく、ランプ本体が光ります。クラシックな「パンテラ」は白色で、明るくクリーンな印象を与えます。パントンの最も愛されたデザインのひとつであり、フロアランプからポータブルの電池式まで、バリエーションが様々で、現代も多くのシーンで使用されています。

2,「アングルポイズ」

「アングルポイズ」 by ジョージ・カーワーダイン

「アングルポイズ(Anglepoise)」のデスクランプは、間違いなく市場で最もよく知られる照明のひとつでしょう。イギリスの自動車エンジニアのジョージ・カーワーダイン(George Carwardine)が、新たなスプリング技術を用い、位置調整が可能で機能重視のタスクランプを設計しました。現代の「アングルポイズ」を代表するモデル1227は、1935年にジョージとスプリングメーカーのハーバード・テリー&サンズ社(Herbert Terry and Sons)のデザインの元に生まれました。「アングルポイズ」は、ユーザーが必要とするどんな位置でもライトを安定させることを実現しています。

3,「PH5」

「PH5」 by ポール・ヘニングセン

「PH5」ペンダントランプは、1958年にポール・ヘニングセン(Poul Henningsen)がデザインした当時、まさに衝撃的なデザインだったことでしょう。それは、人々の生活を一変させ始めたミッドセンチュリーのテクノロジーの加速を反映しています。ヘニングセンは、絶えず進化する電球の実用的な問題への対応として「PH5」を創作しました。彼はどんな光源でも上手く作用するペンダントライトを創り出し、テクノロジーが急速に進歩し続ける中で、その将来性を確保したのです。マルチシェード形式は、まぶしさのない柔らかな光を放ち、モダンなダイニングルームに心地よい光をもたらします。このペンダントは当初、光の色合いを最適化するために、青と赤のシェードが取り付けられていました。電球の技術が向上し、より美しくリアルな光を再現できるようになった現在、「PH5」には数え切れないほどの色の組み合わせがあります。

4,「ワーゲンフェルトランプ」

「ワーゲンフェルトランプ」 by ヴィルヘルム・ワーゲンフェルト

「ワーゲンフェルトランプ(The Wagenfeld table lamp)」は、「バウハウスランプ(the Bauhaus lamp)」としても知られているように、バウハウスのワイマールの工房から生まれた照明デザインの申し子のような存在です。
1924年、24歳のヴィルヘルム・ワーゲンフェルト(Wilhelm Wagenfeld)は、教師であるモホリ=ナジ・ラースロー(László Moholy-Nagy)から与えられたプロジェクトに応えて、このランプをデザインしました。優れたデザインを民主化するというバウハウスの使命に沿って、このランプは工業生産の未来を見据えデザインされましたが、実際には昔も今も手作業で作られています。ニッケルとガラスの組み合わせが、洗練されたモダンな外観を生み出しています。このランプは、今日でも当時と同様の材料と仕様で作られており、現代においても新鮮な輝きを放っています。

5,「AKARI」

「AKARI」 by イサム・ノグチ

日系アメリカ人デザイナー、イサム・ノグチ(Isamu Noguchi)の光の彫刻「AKARI」は、モダンデザインの真のアイコンです。モダン・ムーブメントから生まれた多くの作品とは異なり、「AKARI」は斬新な素材や手法に頼っているわけではありません。その代わり、ノグチは日本の伝統的な技術や素材に立ち返り、職人技で手作業のアプローチに傾倒しました。
1951年、彼はしなやかでありながら頑丈な竹ひごを使って骨格を作り、最初のモデルをデザインしました。日本の和紙が丹念にその骨格にパネルごとに貼り付けられていきます。こうして出来上がるのは美しい彫刻のようなシェード、そして完全に折りたたむことができるという実用的な要素も加わっています。イサム・ノグチの「AKARI」のデザイン意図は、「あかり」(照明、輝き、明るさを意味する日本語)を具現化したフォルムを作ることでした。ノグチは最終的に100以上のバージョンを制作し、さまざまな形、サイズ、グラフィカルなパターンに展開しています。ノグチの作品は、その物語が始まった工房で今も手作りされ、日本の伝統と技術を現代風に継承しています。

6,「アプリーク ア ヴォレ ピヴォタン」

「アプリーク ア ヴォレ ピヴォタン」 by シャルロット・ペリアン

シャルロット・ペリアン(Charlotte Perriand)は人の手の仕草に魅了された人物です。彼女自身は、生きる喜びを表現する表現者であり、それは多くの作品に反映されています。彼女が1962年にデザインしたウォールランプ「アプリーク ア ヴォレ ピヴォタン(Applique à Volet Pivotant)」は、艶消しアルミニウムと、明るい色彩で構成されています。ランプ自体は調節可能で、手のように傾けたりひねったりすることで、間接光を生み出すことも、狙ったところに直接光を導くこともできます。この多機能性は、生活のリズムをサポートする機能的なデザインというペリアンのコンセプトを反映しています。

7,「ランパンぺ」

「ランパンぺ」 by  インゴ・マウラー

ミュンヘンを拠点とするデザイナー、インゴ・マウラー(Ingo Maurer)は1980年、紙を素材として選び、ランパンぺ(Lampampe)を制作しました。彼は日本の和紙をシンプルな金属フレームにはめ込み、わざとしわくちゃにした紙の土台の上に伝統的な形のランプシェードを乗せました。マウラーはしばしば紙をデザインに用い、そのスッキリとした趣と変幻自在さからインスピレーションを得ています。電球が半透明の紙を照らし、紙のわずかなシボがランプの個性をより浮き立たせます。照明全体が光り、まぶしさをまったく感じさせない、印象的な彫刻のような質感が感じられるランプです。

8,「アルコ」

アルコ by アキッレ&ピエル・ジャコモ カスティリオーニ

アキッレ(Achille)とピエール・ジャコモ・カスティリオーニ(Pier Giacomo Castiglioni)兄弟によって1962年デザインされた「アルコ(Arco)」フロアランプ。手の届きにくい場所にさりげなく光を届ける、今までに類を見ない照明器具でした。白いカッラーラの大理石のブロックは、長いアーチ状アームの先に取り付けられたペンダントを支える十分な重量を持つ安定した土台となっています。アームはステンレス製で、ペンダント本体は磨き上げられたスパン・アルミニウム製。アームは伸縮自在で、必要に応じてライトの位置を調整できます。このドラマチックなデザインは、その圧倒的なスケールとエレガントなシンプルさで称賛され続けています。

9,「ピピストレッロ」

「ピピストレッロ」 by ガエ・アウレンティ

イタリア人デザイナー、ガエ・アウレンティ(Gae Aulenti)の作品、「ピピストレッロ(Pipistrello)」。1965年に製造が開始され、その未来的なフォルムは、ミッドセンチュリーの目には幻想的で斬新に映ったことでしょう。形も素材も斬新で、伸縮自在のステンレスのステムは、当初は白かチェストナッツブラウンのラッカー塗装が施されていました。シェードはメタクリル樹脂製で、イタリア語で「コウモリ」を意味するドーム型をしています。シェードの四分円形がわずかに膨らんだフォルムは、コウモリの翼が空気をつかみ、膨らむ様子を連想させます。機能性と視覚的な美しさが見事に調和した、愛すべきデザインです。

10,「ネルソンバブルランプ」

「ネルソンバブルランプ」 by ジョージ・ネルソン

「ネルソン・バブルランプ(Nelson Bubble lamp)」(別名ソーサーランプ(Saucer Lamp))は、1947年にアメリカ人のジョージ・ネルソン(George Nelson)によってデザインされました。ネルソンは、当時スウェーデンでデザインされていたシルクが貼り付けられたバブルペンダントに一目惚れ、自分の建築スタジオに置きたいと思いましたが、高すぎて手が出ませんでした。そんな折、彼はある帆船の写真を見つけました。それはクモの巣状に形成される特殊なプラスチックスプレーを吹き付けて船体を密閉している写真でした。そこからヒントを得てバブルランプのデザインは生まれました。器具の内部は金属製のケージで張力によって形状が保持されるため、工具の必要性が最小限に抑えられ、溶接も一切不要に。これによって、手頃なコストで大量生産できるようになりました。ケージはスプレーでコーティングされた後、クモの巣状のプラスチックで覆われます。プラスチックは薄いため光を最大限に利用し、心地よい柔らかな光を放ちます。クラシックなミッドセンチュリーモダンデザインを、誰もが手に入れられることを可能にした美しい例です。

オーセンテリアの扱う照明セレクション

トム フォルクナーもまた多くのデザイナーと同様に、照明の機能と美しさを追い求め、そのバランスを追求してきました。
ご紹介したいのは、トムの自宅でのふとした思いつき(雑誌のページを切り取って丸めてシェードを作ってみた)と、フランク・ゲイリーの建築からインスパイアされてデザインされた「ハグ ペンダントライト」。その名の通り優しく抱きしめるようなデザインは素材の特性を活かしシンプルでありながらアーティスティックな存在感を放ちます。和の空間にも似合うこと間違いなしです。外側、内側それぞれお好きなフィニッシュをお選びいただけます。テーブルやチェアだけではない、トム フォルクナーの照明の魅力も、ぜひチェックしてみてください。

また、オーセンテリアでは、その他にも魅力的なブランドのとっておきの照明たちをたくさん取り扱っております。
キュリオーサの美しい手吹きガラスのシェードの照明、ビューバンプのラグジュアリーなファブリックのランプシェード、マーギット ウィティッグのアートのような個性的なテーブルランプ…etc
気になるアイテムがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

照明デザインには光の広がり方や見え方、明るさ、また照明器具の形や大きさ、素材や、製造技術など、たくさんのデザイン要素があります。機能的な面と美観の面の両立を保ち創意工夫をしながらデザイナーは照明を生み出してきました。
どのような時代背景で、どのような作り手の思いで、またどのような技術や材料を使って作られたのかを知ると、またその照明が味わい深く、より愛おしい存在になるかもしれません。

(こちらの記事はTom FaulknerのJournalの記事を元にオーセンテリアが編集、加筆したものです。Original text by Annabel Colterjohn)

関連記事