アートの取り入れ方
アートを飾りたい、けれどどんな風に見せたら正解なのか分からない、そもそも何を選んだらいいか分からない…色々と思い悩んでしまうことも多いかと思います。
今回はご自宅へのアートを取り入れ方や、ちょっとしたコツをお届けします。
オーセンテリアの扱う家具ブランドの一つ、トムフォルクナー、彼らが以前アートフェアにてインスタレーションを一緒に行った、ロンドンのギャラリーCavaliero Finn、その創設者であるデボラとジュリアナがその知恵をシェアしてくれています。
ぜひヒントを受け取り、あなたのお家でお役立てください。
Contents (この記事の内容)
個人的なアプローチ
アートは、ギャラリーを出て世界へ飛び出した時に、花開きます。
家に持ち込まれると、全く新しい命を得て、住まいの印象をガラリと変える力を持つのです。アートは極めて個人的なものであり、持ち主の独自のスタイルを反映、演出し、また作品が持つテーマやストーリーを私たちに語りかけてくれます。アートによって住まいに視覚的な面白さがもたらされるだけでなく、空間そのものを豊かにしてくれるのです。
ギャラリーCavaliero Finnは、アートを展示する際、極めて個人的なアプローチをとっています。
彼らが重視するのは、家の中で自然に感じられる方法で作品を展示すること。家具の上部にはタペストリーが掛かり、家具の上には陶器と、丁寧に選ばれたあらゆる種類の骨董品たちが並びます。
このエスプリは、同じように手仕事で作られた個性的な輝きを放つトムフォルクナーの家具と見事に調和しています。
インスピレーションを集める
正しいスタートを切るには、ちょっとしたビジュアルリサーチが有効、とデブラとジュリアナは言います、
「ケンブリッジにあるケトルズヤードや、イーストサセックスに位置するチャールストンハウスは、インスピレーションを得るのに最適な場所で、私たちは何度も足を運んでいます。どちらの場所も、アットホームな環境の中でアートや工芸品を見ることができる場所です。 キュレーターのジム・エデは昔ケトルズヤード・ハウスに住んでたことがあり、そこでは作品をいたるところに飾る試みを恐れませんでした。 ピアノの上にブランクーシの彫刻、トイレにアルフレッド・ウォリスの絵、寝室にバーバラ・ヘップワースの彫刻など。屋根裏部屋には、絵画が床から天井まで吊るされています。このような家は、思いもしない場所にでも宝物を置く場所は必ずあるということを教えてくれます」。
あなたの心に響く場所と、そこにアートを置いた時のクリエイティブな見せ方について考えてみましょう。あなたがインスピレーションを得るシーンを写真に撮り、そのアイデアを自分なりにアレンジして、ご自宅に取り込んでみてください。
異なる種類のアートを混ぜる
異なる種類の美術品を組み合わせることで、それぞれの作品の思いがけない要素が引き出され、視覚的なダイナミズムが生まれることに驚かされます。
デブラとジュリアナは言います、
「絵画の近くにオブジェを置くと、偶発的ではあるけれど、驚くほど美しい相乗効果が生まれることがよくあります」。
2人は17年前から、サウスロンドンにあるジュリアナの自宅でアートを展示しており、キッチンテーブル、ピアノの上、マントルピースの周りなどに作品を散りばめて見せることを行っています。
「ぴったりな場所を見つけるには、ちょっとした遊び心が必要ですが、アートを並べたり、また並べ替えてみたりすることには、喜びがあるんです。アートを数点ずらすだけで、部屋の雰囲気がガラリと変わり、一瞬でその場が生まれ変わるのは、とても素晴らしいですよ」。
壁にかける時のヒント
デブラとジュリアナは、アートを飾る際のルールを決めていませんが、こう提案しています。
「壁に飾る作品は、目線の高さにするのが良いスタートでしょう、キャンバスと額縁の作品をバランスよく飾るのがいいですね。大きな作品と小さな作品は相性がよく、小さな作品を壁一面に並べれば、素晴らしい存在感を放つことができます。大きな作品を買わなければいけないと思っている人もいますが、小さな作品にも想像以上に力強さがあり、空間を保持することができるのです」。
デボラとジュリアナは、あなたが実際にアートを飾る際、スムーズに行うことができる素晴らしい方法を知っています。
「壁に掛ける範囲を、マスキングテープを使って床に印を付け、その上(床面)に作品を並べ、あなたがどのように壁に飾りたいかアレンジしながら配置します。細かく正確に行なわなくて大丈夫ですよ、そこまで堅苦しく考えてやる必要はないですからね。 高さや間隔はさまざまですが、印象的な展示になります。並べた様子を写真に撮っておけば、それが壁に飾る時のガイドとなります」。
家具との調和
家の中にアートを配置する際、あなたの生活スタイルを通して考えると効果的です。ここは美術館やギャラリーではなく、あなたの家なのです!アートの他にもカーペットや家具、植物など、あなたに語りかけるものはたくさんあります。それらの要素すべてを混ぜ合わせ、空間全体を豊かなものにしていきましょう。
Cavaliero Finnは、異なる様式や時代の要素を組み合わせることを勧めています。
「我々はミックスするのが大好きです。ミッドセンチュリーやアンティークの家具は、コンテンポラリーアートと美しく調和します。私たちは同じ時代様式で全てを揃えないほうが良いと思っています」。
色や素材について考えることも重要です。
例えば、より軽くてテクスチャーのある陶器は、ダークな仕上げの洗練された幾何学的でコンテンポラリー家具と組み合わせて、コントラストを生み出すと効果的です。また、大理石の表面にはさまざまな色の縞模様があり、アートワークの色合いを引き立たせることができます。ガラスや鏡面仕上げの素材は浮遊感を演出し、幻想的なオブジェを引き立たせる効果があります。
アートを選ぶ方法
デブラとジュリアナは、作品を収集する際、第一印象を重要視しています。
「その作品が私たちの感情にどう訴えかけてくるかを見ます」。
その作品が最初の琴線に触れるものであれば、良いスタートが切れたことになります。そこから、形や色、質感など、作品の美的要素を考慮することが多いそう。また専門家である二人は、その作品を作り出すのにどのような技術が使われているかにも興味があるそうです。
しかし何より人を惹きつけるアート作品に大切なのは、その作品にある「語りかけてくるもの」の部分です。
「これは、作品に差をつけるポイントです。作品から強く語りかけてくるものがあれば、その作家ならではの作品になります。デベン川からインスピレーションを得たアニー・ターナーの風雨にさらされた陶器の彫刻や、エジプトの砂丘からインスパイアされた、アシュラフ・ハンナのうねる器など、一目でそれとわかり、非常に収集しやすい作品となります」。
「語りかけてくるもの」というのは、作品を貫く明確な糸のように重要なもので、それは私たちギャラリーにとっても大切です。作品の背後にあるストーリーは、作品そのものと同じくらい大事です。作品には歴史があり、私たちが作品を所有すれば、それは私たちの歴史の一部となるのです。
Cavaliero Finnは、キュレーター/作家/美術史家であるグレン・アダムソンの「より少なく、より良いもの」で人生を満たすよう努力すべきである、という哲学に導かれています。
一日の終わりに、デブラとジュリアナはこう振り返ります。
「私たちの身の回りにあるものは、我々の人生を共に生きる仲間たちです。時間をかけて丁寧に手で作られたものを知ること、何千年もの間代々受け継がれてきた伝統を取り入れることは、私たちの生活をより豊かにしてくれます。こうしたものたちは、長く使えるように作られています。私たちは家を移ることができますが、これらのものは私たちと共に旅をします。それらは私たちの風景になるのです」。
アートをあっちに置いてみて、こっちに置いてみて、家具と組み合わせて…デボラとジュリアナのアドバイスのように、堅苦しく考えずに動かしながらあなた流のアレンジでアートを飾って楽しんでみましょう!
デブラとジュリアナのCavaliero Finnのウェブサイトやインスタグラムには、まだまだアートの飾り方のヒントになる投稿がたくさん。ぜひのぞいてインスピレーションを集め、ご自宅のアレンジの参考になさって下さい。
文中に出てきた、ケトルズヤードのウェブサイトはこちら https://www.kettlesyard.co.uk/
チャールストンハウスのウェブサイトはこちら https://www.charleston.org.uk/