モアソニエ(Moissonnier)は1885年創業、フランスの木工家具のメーカーです。モアソニエは家具作りにおいて細部に至るまで厳格な基準をもうけており、彫刻、寄木細工、ハンドペインティングの専門技術は高く評価されています。この分野のリーダーとして世界的に知られるモワソニエ社は、ライフスタイルを創造する一方で、環境保護、ひいては生命そのものを守るための取り組みも積極的に行っています。
これらの価値観により、モワソニエは目の肥えた顧客に選ばれており、伝統を守りつつ大胆で革新的なデザインはフランスのラグジュアリーの代名詞とも言われています。
モワソニエは、長期的に事業を継続するために、環境を尊重することを原則としています。そのため、木材の調達には非常に細かなルールが定められています。 例えば、モワソニエが調達する木材の90%は、CO2排出量を削減するために、工場から半径30km以内にある製材所から供給されています。同社はPEFCおよびECラベルを取得、孤立した環境での自然灌漑を推奨し、廃棄物は100%リサイクルしています。
また、モアソニエは無処理の木材の使用を推奨しており、フランスのドーフィネ地方にあるSaint-Marcellinのクルミの森の中心に拠点を置いている”Entreprise du Patrimoine Vivant “のラベルを持つサプライヤーは、無処理のクルミと地域品種のみを扱っています。市場に出回る98%の木材とは異なり、モアソニエが購入した丸太はタンクで化学処理されておらず、木材の出所がTracable(追跡可能)で、持続的に管理されているフランスの森林から調達されています。
ここでモアソニエが行っている「エイジング加工」についてご紹介いたします。下の画像は当店のショールームにあるナポレオンIIIのオケージョナルテーブルですが、拡大画像にいくつかの凹みと割れ目があるのがお分かりでしょうか。モアソニエの工場では、家具製作の過程で意図的にこのような加工をほどこすのです。
モアソニエ社と取引を開始して、このテーブルを取り寄せた時に、新品なのに凹みがあるのを見てびっくりしたのを思い出します。アンティーク仕上げだと納得したのですが、その後、長く使い込むうちにこの凹みに味わいが出てくるのに気づきました。
どんな家具でも日々の生活で使用するうちに日焼けしたり、何かをぶつけてキズがついたりするものです。そのうち新品の状態からの劣化具合にげんなりして買い替えを考えることも。モアソニエの家具にそのようなことはありません。使えば使うほどに愛着がわき手放せなくなるほどです。
意図的にほどこすエイジング加工、そこにはモアソニエからのメッセージが込められているのかもしれません。良い家具というものは、飽きがこない、時には何世代も受け継がれる、伝統的な形でも新しいデザインと調和するもの。
モアソニエの家具のサステナビリティ(持続可能性)は製造過程の自然への配慮のみならず、オーナーによって愛され、長く使われるという意味で家具そのものがサステイナブルなのかもしれません。